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よみがえれ!浜辺の宝物 〜守山・なぎさ公園の「はまひるがお」群生地〜

滋賀県守山市にある「なぎさ公園」の湖岸沿いを歩いていると、ふと視線の先に不思議な風景が広がっていました。 そこは、砂地に石が敷かれた小道が伸びる一角。数人の人たちが静かに地面に向かってしゃがみ、手にはゴミ袋や道具を持って、何かを拾い集めているようでした。

ただの草地でも、ただの清掃風景でもありません。目を凝らして見ると、その地面には看板や標識が立ち、そして奥には大きく掲げられた「よみがえれ!!」の文字。そこは、地元で大切に守られている「はまひるがお」の群生地だったのです。

地域で守る、かけがえのない景色

この群生地は、地元の学区の自治会やボランティア団体の方々が輪番で管理されているとのこと。 写真の中でも、清掃作業をしている方々が帽子をかぶり、日差しを浴びながらも黙々と手を動かしている姿がとても印象的でした。

砂浜のような柔らかな地面には、ハマヒルガオの育成のために敷かれた飛び石のような歩道が続き、管理者が群生地を荒らさずに歩けるよう配慮されています。看板にはハマヒルガオに関する説明や保護活動の意義が記され、訪れる人にも優しい設計がなされていることがわかります。

ハマヒルガオの魅力と生態

ハマヒルガオ(浜昼顔)は、その名の通り、海辺や湖畔の砂地に生える多年草で、5月下旬から6月ごろにかけてピンク色の愛らしい花を咲かせます。朝の光を受けて花を開き、昼過ぎにはそっと閉じてしまう儚げな性質が特徴です。ラッパ状に広がる花びらは、どこか懐かしく優しい印象を与え、風に揺れる姿はまるで自然が奏でる静かな音楽のよう。

一見すると可憐で繊細に見えるハマヒルガオですが、実はとてもたくましい植物でもあります。栄養が乏しく乾燥しがちな砂浜という厳しい環境でも、地中深くまで根を伸ばしてしっかりと生き延びる力を持っています。

ただしその分、生息できる場所が限られているため、近年では人の立ち入りや外来種の侵入、護岸整備などによってその姿が少なくなりつつあります。この守山の群生地でも、かつては雑草に覆われ、ハマヒルガオがほとんど見られない時期もあったそうです。 それを「もう一度この場所に花を咲かせたい」という地域の熱意と努力で、少しずつよみがえらせたのです。

「よみがえれ!!」に込められた想い

「よみがえれ!!」と書かれた大きな看板には、ただのスローガン以上の力強いメッセージが感じられます。 自然はただ放っておけば戻るものではなく、誰かが手をかけ、見守り続けることで初めて再生の道を歩み始めます。

草を一本ずつ抜き、ゴミを拾い、必要な箇所には手を加え、そうやって少しずつ整備を重ねた結果、今ではまた、ハマヒルガオの群れ咲く姿が見られるようになってきたのです。

こうした地道な活動に支えられた群生地は、観光地のような派手さこそないものの、心にじんわりと染み入る風景を私たちに届けてくれます。

背景に広がる琵琶湖と比良山系の雄大な景色

この場所の魅力は、ハマヒルガオだけではありません。目の前には、日本一の面積を誇る琵琶湖がどこまでも広がり、視線の先には雄大な比良山系が連なる美しいパノラマが望めます。

湖面はその日、澄み渡る青空を映し出してきらめき、静かな波がさざめく音とともに時間がゆっくりと流れていました。空にはうっすらとした雲が漂い、風が頬を優しく撫でていきます。

対岸に見える山々は、季節によってその表情を変えます。春には新緑が萌え、夏には濃い緑に染まり、秋には紅葉、冬には雪化粧と、一年を通して美しい風景を見せてくれるのです。このハマヒルガオの群生地は、そんな風景とともにあるからこそ、訪れる人の心をより強く打つのでしょう。

アクセスのご案内:地域の宝へたどり着く方法

守山駅からバスで約25分、「第1なぎさ公園」バス停で下車すれば、降りた目の前に群生地があります。徒歩でのアクセスも良く、初めて訪れる方にも安心です。

車で行かれる方は、名神高速・栗東ICから約10km。開花シーズンには臨時駐車場も整備されているので、混雑状況と駐車場の開放情報は事前にチェックされると良いでしょう。

  • 所在地:滋賀県守山市今浜町地先、第1なぎさ公園付近(琵琶湖マリオットホテル前)
  • 公共交通:JR琵琶湖線 守山駅(西口)から近江鉄道バス「木ノ浜線/琵琶湖マリオットホテル行」乗車、「第1なぎさ公園」下車すぐ
  • 自家用車:名神高速道路・栗東ICから約30〜40分
  • 駐車場:見頃時期のみ臨時駐車場が開放される場合あり

季節ごとの見頃カレンダー

守山・第1なぎさ公園周辺では、一年を通じて美しい花々と琵琶湖、比良山系の景観を楽しめます。特に以下の季節がオススメです:

花の種類 見頃時期
ハマヒルガオ(ピンクの昼顔) 5月下旬 ~ 6月上旬
ヒマワリ 7月上旬 ~ 8月中旬
寒咲き花菜(菜の花) 1月上旬 ~ 2月上旬

それぞれの季節に違った風景が楽しめるこの場所は、何度訪れても飽きることのない魅力があります。

自然と地域、そして人のつながり

こうして、守山の浜辺には自然と人とのつながりが確かに息づいています。植物と共生しながら景観を守ることは、言うは易く行うは難し。けれど、この場所に立つと、「ああ、人の手が入ることでこそ美しさが保たれているのだ」と実感させられます。

観光地ではなくとも、地元の人々が誇りを持って守っているこうした場所は、本当に訪れる価値のある「宝物」だと感じました。

まとめ 〜静かに心を満たす時間を〜

守山市のなぎさ公園のすぐ隣にある、ハマヒルガオの群生地。そこには、静かでありながら力強く、そして優しさに満ちた風景が広がっていました。訪れたときには花の時期ではなくとも、そこに流れる時間や人々の想い、そして美しい琵琶湖の風景に、心がすっと軽くなるような感覚を覚えました。

誰かが黙々と作業をしている姿を見るだけで、自分もまた何かのために手を動かしたくなる。そんな気持ちになる場所です。もし守山方面に出かける機会があれば、ぜひこの場所にも立ち寄ってみてください。 そして、砂浜に咲く可憐な花と、それを支える人々の想いに、そっと心を傾けてみてください。きっと、日常の中で少し忘れていた「やさしさ」に、また出会えることでしょう。

 

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はじめまして、TAKAです。 滋賀県守山市に住む、50代の自営業。妻と小学生の娘、そしてプードル×マルチーズの「のあ」と暮らしています。 このブログ「しがノオト」は、僕自身の暮らしや気づき、地域のこと、趣味の滋賀レイクス、そして家族との日々を綴る“僕コンテンツ”ブログです。 若い頃から「何かを発信したい」と思っていながら、日々の忙しさに流されてここまで来てしまいました。でも、人生の折り返しを過ぎた今、「今の自分を言葉で残したい」と心から思うようになりました。 この歳だからこそ書けること。守山の風景から、子育て、趣味のレイクス、そしてちょっとした心の声まで。 いつか、誰かの背中をちょっとだけ押せたら、 そんな想いで、日々綴っています。 よろしくお願いします。